政策提言書

南海トラフ巨大地震に備えるための「7月予行演習」の実施提案

1. 提言の目的
本提言書は、南海トラフ地震による甚大な被害を想定し、2025年7月を「予行演習の月」と位置づけ、政府・自治体・市民が連携した災害予防行動を実施することを提案するものである。

2. 背景と問題意識

  • 政府の被害想定では、静岡県〜宮崎県の太平洋沿岸に10メートルを超える津波が予測されている。(NHK [1])
  • 内閣府によると、南海トラフ地震の震源域には、中央構造線以南の広い領域が含まれている。この地域では、直下で大きな地震が発生する可能性が高い。(内閣府 [2])
  • 漫画家・たつき諒氏が「2025年7月の大津波」を予知夢として公表しており、過去の地震の夢予言も的中している。
  • 原子力発電所については、伊方原発(中央構造線上)でまだ原子炉が一基稼働している。さらに伊方原発および浜岡原発(3つのプレート境界上)に使用済み核燃料が合計1,900トンに保管されている。両原発とも、南海トラフ地震の震源域に含まれており、中央構造線上と3つのプレート境界上という地理的な特性により、原発の耐震限界である1000ガルを遥かに超える強い揺れが予想される。南海トラフ地震発生時には、伊方の稼働中原子炉の制御不能を皮切りに、冷却プールにおける使用済み核燃料のメルトダウン、島根原発、若狭湾の原発群(高浜、大飯、美浜、敦賀)、もんじゅのプルトニウム(400kg)の制御不能という深刻な原発災害の連鎖が懸念される。

3. 提言の概要
7月を「災害対策予行演習月間」とし、全国で以下の措置を推奨・実施する。

提言1

市民レベルでの地震・津波避難訓練の実施

  • 対象者:
    ・津波浸水想定区域に居住する市民
    ・南海トラフ地震の震源域において老朽化した建物に住む市民
  • 主な行動内容:
    ・7月中、安全な建物・地域での生活を推奨
    ・学校・企業・病院についても同様に、7月中、安全な建物・地域での営業を推奨

提言2
原子力発電所の緊急リスク低減措置

  • 伊方原発・浜岡原発への対策:
    ・稼働中の伊方原発原子炉の停止、原子炉内の核燃料を、輸送用キャスクで安全な場所へ移送
    ・伊方・浜岡の使用済み燃料プールの空化および分散保管
  • 九州・西日本の稼働中原子炉11基への対策:
    ・原子炉11基の一時停止

4. 想定される効果

  1. 津波避難において「避難困難者」の事前対策が可能
  2. 建物倒壊による人的被害を事前に減らすことが可能
  3. 原子炉・冷却プール事故を未然に防ぎ、放射能災害のリスクを根本的に低減
  4. 防災体制の恒常的強化

5. 実施に向けた課題と対応策

  1. 原発燃料の移送先の確保:
    他の原子力発電所における冷却プールの空きスペース、むつ市中間貯蔵施設を利用しての仮貯蔵。(July Rehearsal [3])
  2. 原発停止による電力不足:
    節電要請・再エネ活用などで調整
  3. 市民の避難による生活負担:
    避難補助制度・公共施設の活用
  4. 「予言」に対する社会的懐疑:
    地震学と結びつけた「訓練」として啓発

6. おわりに

7月に実際に地震が発生しなかったとしても、予行演習によって、津波と強い揺れおよび原発災害から命を守るための備えが整う。
今こそ「最悪のシナリオ」に備えた現実的行動を全国で起こすべきである。

 

参考資料:
[1] NHK, 南海トラフ巨大地震「新被害想定」, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250331/k10014762791000.html#anchor-20
[2] 内閣府, 南海トラフ地震の震源断層域, https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku/pdf/1_1.pdf
[3] July Rehearsal, 南海トラフ地震 7月予行演習, https://july-reh.org/